先週は咳嗽学会、今週はアレルギー学会でアトピー咳嗽について確認してきました。
最近の学会では多くの報告でアトピー咳嗽の頻度が少なくなっています。藤村政樹先生によるとかつては慢性咳嗽のなかでアトピー咳嗽は咳喘息と同じくらいの頻度があるとされていました。
咳喘息に似ているが気管支拡張薬が無効で喘息には基本的に移行しない病態で、アトピー素因とのどのイガイガ感が特徴とされる疾患で私が長引く咳の診療を専門とし出したルーツとも言える疾患です。
その頻度が最近の報告では減っているという事実の理由が分かった気がしました。
咳喘息と気管支喘息、特に咳が中心となる気管支喘息との区別がつきにくく喘息性咳嗽としてひとくくりにしようという考えが出てきており、それが主流になってきています。ただそれにアトピー咳嗽
も含まれてしまっている様です。
わたしが尊敬する藤村政樹先生の弟子にあたる先生とお話ししてそのことがよくわかりました。最近の報告では重症な咳喘息、気管支喘息では咳感受性(喘息とは別の経路の咳の出やすさ)が亢進しており
喘息が良くなると咳感受性も減弱するとされています。しかしこれは合併しているアトピー咳嗽によるもので、あるいはアトピー咳嗽を喘息と混同しているため、単にアトピー咳嗽による咳を重症な喘息の
咳と思っているだけと考えられます。もしかしたらアトピー咳嗽は単独では少ないかもしれませんが合併症としては依然として多いと思われます。
咳喘息はわずかな気管支の収縮でも咳が出てしまう病態で、気管支喘息は強い収縮がないと咳が出ません。むしろ正常者より気管支の収縮による咳は出にくくなっています。その両者を喘息性咳嗽で統一するのも
問題かた思いました。臨床的には治療も同じで鑑別もむづかしいので喘息性咳嗽で統一するのもありですが、病態的には別の病気としてとりあつかうのがいいのだと思います。本日も藤村政樹先生の弟子にあたる
先生からそのような質問がありました。
臨床的にベータ刺激剤の効果を確認するのは重要ですが、効果がない場合、アトピー咳嗽まは他の非喘息性咳嗽である場合と、重症な喘息、咳喘息のことがあり、判断が困難です。ベータ刺激剤が無効なものも
重症な喘息、咳喘息として診断されてしまっているような気がします。


