武蔵小金井の山崎内科医院|総合内科・アレルギー専門医|健康スポーツ医 – 内科 全般に精通する総合内科専門医とアレルギー専門医

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抗菌薬適正使用 多摩総合医療センターの本田先生のお話し

抗菌薬適正使用 についての 講演の要旨を 2回連続で 掲載いたします。
地域で考える 抗菌薬を 上手に使うための 方策
昨今、 抗菌薬が 医療機関で 適切に使用されることが 強く叫ばれている。 抗菌薬は 有限の資源で あるためだ。2050年には 全世界で 毎年1000万人が 耐性菌による感染症により 死亡することが 試算されている。 この耐性菌の 発生と抗菌薬の使用は 関連している。 過剰な抗菌薬使用は 細菌に選択圧を 与え、 これにより 細菌は抗菌薬に 対して耐性を 獲得するためだ。 はじめて ペニシリンが開発された時に すでに細菌は 低濃度の抗菌薬への  曝露で耐性 を獲得することが  示されていた。
この薬剤耐性 (Antimicrobial resistance: AMR) の問題をより良い状況に するために2016年に 日本にも AMRアクションプランが 国主導で示された。 これは薬剤耐性を 防ぐ上で、 医療機関だけでなく、 畜産業界、水産業界など多面的な分野で 協働して対応していく ワンアプローチという概念が 提唱されており、 良い意味で 非常に野心的だ。 このAMRアクションプラン の核となる政策の中に 抗菌薬の適正使用 (英語ではしばしばantimicrobial stewardship と 呼ばれる)がある。
日本の抗菌薬の使用量は 比較対象にもよるが、 決して少なくない。 とりわけ、 経口の第3世代セファロスポリン、 フルオロキノロン系抗菌薬、 マクロライド系抗菌薬が 挙げられる。 これはAMRアクションプランの中でも 記載されており、 これらの使用と 薬剤耐性の間の 関連性が懸念されている。
また薬剤の払い出しデータによると、 毎日200万人に抗菌薬が 処方され、 そのうちの90%以上が 経口の抗菌薬で あった。 つまり抗菌薬の乱用は 各医療機関での外来セッティングが AMRアクションプランにおいては 抗菌薬の使用を 2013年基準から2020年には 全体で、2/3に減らし、 上記使用の多いセファロスポリン、 フルオロキノロン系抗菌薬、 マクロライド系抗菌薬に おいては1/2に 減らすことが目標として掲げられている。
抗菌薬の適正使用の概念で文字通り、抗菌薬を適切に使用することだ。つまり抗菌薬が必要な病態に抗菌薬が使われ、そうでない時には使用しないことだ。今までなんとなく心配だから抗菌薬が投与されるなんて光景はどの医療の現場にもあったと思うが、この適正使用という概念では、抗菌薬の必要のない感染症に関しては抗菌薬を使用すべきでないこと、また適切に感染症を診断して、抗菌薬が必要な病態を判断し、使用するときは標準的な選択、用量、治療期間を担保して治療するべきことなどが含まれる。
抗菌薬の適正使用を進める上で、今年の6/1に厚生労働省から抗菌薬適正使用の手引きが出された。この手引きではまず外来の上気道感染症、下痢という頻度の多い感染症における抗菌薬使用の必要性が記載されている。今までの感染症のガイドラインなどは治療をどうするかが描かれているがこの手引きは抗菌薬が必要な病態が明確になっていることは現場に非常に有益である。
今後そのダイジェスト版も発行される予定である。手引き自体は厚生労働省のウェブサイトから入手可能だ(http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/0000166612.pdf)。一度皆さん手にとってご覧いただき、現場での医療に役立てていただきたい。そしてこれが地域で抗菌薬を上手に使う方策として最も重要なことであるからだ。
以上が講演内容です。
*簡易版はこちらです。https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10900000-Kenkoukyoku/tebiki_1.pdf
*ホームページも参照→Q01
感染症のほとんどは抗菌剤を必要としない。まして感染症かどうかもわからない段階での使用は言語同断と思われます。細菌感染症であっても必要がないことが多いことも知るべきと思います。

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