日本渡航医学会 シンポジストとして発表しました - 武蔵小金井の山崎内科医院|総合内科・アレルギー専門医|健康スポーツ医

2019年 7月 16日

日本渡航医学会 シンポジストとして発表しました

日本渡航医学会 でシンポジストとして発表しました、内容を示します。
 
ダイバーの健康診断 各論
山崎 博臣
山崎内科医院
【抄録】
潜水適性を決めるうえでまず問診を記載してもらい、それにチェックが入った場合医師を受診するながれとなっている。 頻度の多い疾患について潜水適性判定について述べる。まず生活習慣病について。最大運動負荷試験にて虚血性変化がある場合は潜水不可である。私はアメリカスポーツ医学会の勧告に基づいて判定している。すなわち冠動脈リスクが2つ以上あるか45歳以上の男性または55歳以上の女性で冠動脈リスクが1つ以上ある場合は最大運動負荷試験を施行し虚血性変化がないことを確認している。この検査が出来る施設は限られているので検査が出来ない場合は浅目で穏やかな海で潜水することを条件に許可する場合もある。しばしば問題となる呼吸器疾患は気管支喘息と自然気胸、慢性閉塞性肺疾患(以下COPD)である。気管支喘息は慢性気道炎症性疾患であるが患者は呼吸困難感の感度が鈍く、早朝に気道狭窄があっても起床後比較的早期に気道狭窄が正常化するため受診時に診察や呼吸機能検査をしても状況を把握しにくい。そのため医師、患者ともに重症度に対する評価が甘い。コントロールされていることが潜水可能の条件であるがその評価には早朝の気道狭窄の把握のためピークフロー値の測定が必要である。自己最良値の80%を割っている場合は潜水禁不可となる。詳細な問診も重要である。風邪のとき苦しくなったりヒューヒューすることはあるか?運動や坂道で息切れを感じることがあるか?咳が2-3週以上長引くことがあるか?と質問すれば多くは把握できる。自然気胸は現在はダイビング不可だが再発者の約60%が1年以内に再発し、その後再発リスクは時間とともに低下する。また外科的治療は再発率を低下させる。CTスキャンでブラがないことも再発率を低下させる。つまり発症後時間が経過し再発がなく、ブラがCTスキャンで検出されなければ再発リスクは低いことになる。外科的治療も考慮する必要がある。再発のない期間をどれくらいにするか、再発しない例に外科的治療をするかは議論が必要である。COPDは肺機能検査で閉塞性換気障害を示し、胸部CT検査で気腫性変化を認める。70歳以上の喫煙者が閉塞性換気障害を呈することは45%におよび、COPDは20%存在する。60歳以上の潜水死亡事故が潜水人口に比し極端に多いことが報告されており、閉塞性換気障害との関連が示唆される。症状が出にくいためCOPDであることに気づかず潜水していることがあると考える。喫煙者、60歳以上の場合は呼吸機能検査を施行し、異常があれば胸部CT検査を施行することが望ましい。心房細動は発作性の場合は潜水時に整脈であれば可。持続性であれば不可と考える。脳血管障害は不可。アレルギー性鼻炎は講習中に耳抜きが問題なければ可、問題あれば潜水専門の耳鼻科を紹介する。運動能力の評価も重要でバディ潜水をする条件として5メッツ程度の運動を3-5分継続した後の脈拍が138‐年齢/2以内であることを提唱する。