ダイバー の内科的問題点 - 武蔵小金井の山崎内科医院|総合内科・アレルギー専門医|健康スポーツ医

2014年 12月 3日

ダイバー の内科的問題点

14/11/29の講演内容となります。
ダイバーの内科的問題点(ダイバーでなくても喘息、運動のことが理解できますので読んでください)
山崎内科医院 山崎博臣
<気管支喘息の潜水適性>
気管支喘息(以下喘息)は気道平滑筋収縮を主体とした急性疾患という捕らえ方が主流だったが。近年の研究により急性期のみでなく間歇期でも好酸球などの炎症細胞が気管支粘膜に浸潤する慢性持続炎症であることがわかった。患者は呼吸困難感の感度が鈍くなっており症状が出にくい。早朝に気道狭窄があっても起床後比較的早期に気道狭窄が正常化するため診察時には呼吸機能検査をしても状況を把握できない。そのため医師、患者ともに重症度に対する評価が甘い。潜水適性を論じる前に喘息のコントロール(以下C)について考える。C不良の喘息の潜水は絶対禁忌である。まず問診が最も大切である。風邪のとき苦しくなったりヒューヒューすることはあるか?運動や坂道で息切れを感じることがあるか?咳が2-3週以上長引くことがあるか?と質問すればほぼC状況を把握することが出来る。次に肺機能検査を施行する。1秒量、努力性肺活量が正常であることが必要である。加えてピークフロー値の測定は非常に重要である。気流の速度を測る簡易測定器で早朝と午後に自己測定する。症状がなくても早朝の値が自己最良値の80%未満であれば異常とする。運動負荷試験の意義はあまり大きくはなく補足的と考えている。私は簡易法にて判定している。無症状、肺機能正常、ピークフロー値正常、運動誘発なしの場合にC良好とする。
少なくともC良好でない場合は潜水禁止である。
<冠動脈疾患からみた潜水適性>
中高年者のダイビング希望者が増加している。また潜水事故に冠動脈疾患がかかわることが示されており、メディカルチェックが重要となる。
American College of Medicineより心疾患肺疾患を疑わせる主要徴候と症状、冠動脈危険因子が示されている。さらに冠動脈疾患のリスクを、高リスク、中等度リスク、低リスクに層別している。そしてそれぞれのリスクに応じ、運動負荷試験の必要性を示している。これを参考にダイバーの運動負荷試験の適応を考えた。男性45歳、女性55歳以上の場合は血液検査を施行し、冠動脈危険因子があれば運動負荷試験をすることになるが望ましい。
<ダイバーに必要な運動能力>
スクーバダイビングがポピュラー化することにより運動能力、泳力のないダイバーが増加している。そのためダイビング事故の原因として疲弊が問題となる。運動能力さえあれば事故につながらなかったものも少なくない。そこでダイバーに必要な運動能力について論じてみる。
運動強度を徐々に高めていくと酸素摂取量は直線的に増加するがある点を越えるとそれ以上は増加しなくなる。このときの酸素摂取量を最大酸素摂取量といい持久能力の指標となる。また同じように運動強度を徐々に高めていくと乳酸が急に上昇する点がある。そのときの運動強度を乳酸閾値という。このレベルを超えると急にきつく感じてくる。持久運動能力を高めるためにはつらい運動をする必要はない。乳酸閾値の運動強度を繰り返すのがいいとされている。安全に持久運動能力を高めるには乳酸閾値を求めそのレベルの運動を続け最大酸素摂取量の測定により評価するのが最適である。しかしこれには特殊な機器が必要である。そのため一般的には自覚的な運動強度により運動量を決めるのがいい。自覚的にきつく感じない運動から開始する。多くの運動習慣のない人は速歩から開始となる。週に1回より開始、週に3回まで増やす。時間は20-30分とする。トレーニング効果が出ると同じきつく感じない運動でも運動強度が増加する。途中で速歩から同じ速度のジョギングに切り替える。12分で1400mをきついと感じないでに走れるようになればダイビングが安全に出来る運動能力であるといっていい。